2019年11月21日
従業員・職員その他の雇用者(役員及びその関係者のものを除く)の給料(賞与含む)が前年度対比1.5%以上増えた場合に、増えた金額(増加額)の15%を法人税又は所得税から控除できるという税額控除制度です。
特に決算において事前に処理する必要はありません、申告書を作る段階で考えて適用できることが出来ますので要件を確認して頂ければたいへん有利な節税となります。
給料の支給額(賞与含む)が1,000万円増加したら150万円税金が減額されるということになります。
ただし法人税の税額控除は税額の20%が限度となります。(ある程度の所得と納税額が計算される場合に限られます)
法人:平成30年4月1日から令和3年3月31日までに開始する事業年度が対象です。
個人:令和元年分から令和3年まで
中小企業者等の要件を満たしていることが必要です。 かつ青色申告で申告をしている法人に適用があります。
(当期の給与総額ー前期の給与総額)x 15%
給与総額は、全ての国内従業員に支払った給与等の総額。
ただし、「使用人兼務役員を含む役員・個人事業主・これら経営者の家族など特殊な関係にある者」に対する給与は除かれます。
ここで比較する給与は、上の控除計算で使う給与と違います!
「①継続雇用者給与等支給額」が「②継続雇用者比較給与等支給額」を比べて1.5%以上増加していることが条件なのですが、この継続雇用者給与等支給額に、どのような給与が含まれ、又は含まれないか?を仕分ける作業が必要です。
下の表は、経済産業省が出しているガイドブックに記載されているものです。
典型的な継続雇用者はAとBで、前期も今期も2年間毎月給与の支給があった人です。
そのため、C(中途入社)やD(退職者)は、2年に足かけで働いていても、期間が足りないため該当しません。
また、ずっと働いていても、Eのように途中で被保険者になった人、Fのように雇用保険に入っていない人は該当しません。反対に、アルバイトでも、ある程度勤務していて前期・当期通して雇用保険の被保険者であった人は該当します。
要するに、前期12ヶ月と今期12ヶ月の間、ずっと給与を支払って、かつ雇用保険に加入している人が該当します。
また、会社に所属していても、判断しなければならない特殊パターンがG以下です。
GとHは、どちらも会社に所属しつつ休職している人ですが、Gは有給のため会社からの給与支給がありOK!、しかしHは無給(多くの方が育児休暇給付金など国の手当を受けるため会社からの給与が支出されません)のため対象外です。
Iは再雇用で空いている期間があるので対象外。
JとKは、定年退職後の再就職ですが、こちらも全て対象外です。
この特別なケースは、通常、復帰後に給与の額が下がることが多く、判定の対象とすると会社に不利となるため除かれています。
上記の継続雇用者給与等支給額が前年度対比2.5%以上増え、下記のAかBの要件を満たせば、税額控除の率が15%から25%へアップします。
適用年度における教育訓練費の額が前事業年度における教育訓練費の額と 比べて10%以上増加していること
教育訓練の対象者 法人又は個人のその事業に係る国内雇用者。ただし、以下の者は対象外です。
(1)法人等が教育訓練等を自ら行う場合の費用(外部講師謝金等、外部施設使用料等)
(2)他の者に委託して教育訓練等を行わせる場合の費用(研修委託費)
(3)他の者が行う教育訓練等に参加させる場合の費用(外部研修参加費)
事前に経営力向上計画の認定を受けることが必要です、経営力向上計画とは、中小企業等経営強化法に基づき、事業者が、コスト管理等のマネジメントの向上や設備投資など、自社の経営力を向上するために実施する計画です。
認定された事業者は、税制以外の金融支援や経営革新等支援機関のサポ-トを受けることが出来ます。
所得拡大税制については、経済産業省の「 中小企業向け 所得拡大促進税制 ご利用ガイドブック 」でも詳細を確認することができます。