2020年3月9日
決算が終わるとホッとしますが、最後に残っているのが、
書類の整理!!
ですね。
ほおっておくと、どんどん溜まっていく書類・・・
仕事のスペースを侵略してきます。
整理の鉄則は「断捨離!」、捨てることですが、経理の資料は終わったら捨ててよいものなのでしょうか?
残念ながら、答えは「No!」です。
書類はその重要度により保存期間が決まっています。
よく、「資料はいつまで保存すれば良いですか?」というご質問をいただきますが、いちがいに「〇年」と答えづらいものです。
私のお気に入りは、「エヌ・ジェイ出版販売株式会社」さんから以前いただいた、「ビジネス便利帳」。
手のひらサイズでカバンの中に入る大きさなのですが、ビジネスの豆知識がギュッと詰まっていて、とても重宝です!
今回は、こちらの記事の中から、経理資料の保存に関係するものをご紹介します。
留意点にも記載がありますが、法的に永久保存が定められているものではありません。
それぞれの資料の内容を見ると、会社の重要な情報・歴史、もしくは「ずっと使うもの」が入っています。
佐治事務所では、お客様へお渡しする時に、「重要資料ですよ!」と言って会計書類とは別途保管をお願いします。
定款などと共に、「開業届」や「消費税の届出書」などがこれに該当します。
整理のコツ
整理に最適ツールは、A4ポケットの「クリアフォルダー」。
(パンチで穴をあける必要がなく、いつでも取り出してコピーするのに便利なためです。)
背表紙に「重要書類」と入れておくと分かり易いですね!
借入・引っ越し・契約時など、以外と必要になることが多く、大切に保管しなくてはなりませんが、奥にしまい込まない方が得策です。
①定款、株主名簿、新株予定権原簿、端株原簿、社債原簿、株券喪失登録簿
②登記済証(権利証)など登記・訴訟関係書類
③官公署への提出文書、官公署からの許可書・認可書・通達などで重要な書類
④特許、実用新案、意匠、商標など知的所有権に関する特許料・登録料納付受領証や特許・登録証などの関係書類
⑤社規・社則およびこれに類する通達文書
⑥効力の永続する契約に関する文書
⑦重要な権利や財産の特質・保全・解除および変更に関する文書
⑧社宝、社内報、重要刊行物
⑨製品の開発・設計に関する重要な文章
⑩重要な人事に関する文書
⑪労働組合との協定書
いずれも法令により永久保存を義務づけられたものではありませんが、文書の性格上、永久保存が必要(適当)と考えられるものです。
リストを眺めてみると、その年にあった重要な出来事、会社業績などに関する資料ですね。
会社によっては、議事録などは永久保存されています。
10年でスパッと整理したい方は、ともかく種類ごとでなく「年度」ごとにファイルすると二度手間にならず、飛躍的に整理が楽になるはずです。
書類整理が進まない原因は、捨てる前に「もう一度整理」すること。
これをしないで良いように、最初から内容(保存期間)別にファイルしておくことが大切です。
佐治事務所では、「決算書綴り」を毎年お渡ししますが、その中に財務諸表はもちろん、こちらで作成した議事録なども全てファイルしてお渡しします。
整理のコツ
整理に最適ツールは会計事務所からもらう「決算書綴り」です。
その他の10年間保存の資料を全部綴ってしまいましょう。
ご自分で申告されるなど、決算書綴りがない方は、「コクヨ フラットファイル」で十分です。
背表紙に「決算報告書」などの名前と会計期間を分かるようにきちんと記載しましょう。
文書名 | 起算日 |
①株主総会議事録(注) | 株主総会の日 |
②取締役会議事録 | 取締役会の日 |
③監査等委員会議事録 | 監査役会の日 |
④監査等委員会議事録 | 監査等委員会の日 |
⑤指名委員会等議事録 | 指名委員会の日 |
⑥重要会議記録 | 記録作成の日 |
⑦満期または解約となった契約書 | 満期または解約の日 |
⑧製品の製造・加工・出荷・販売の記録 | 製品受渡日 |
注)本店備え置き分。支店備え置き分はその謄本を5年保存
文書名 | 起算日 |
⑨計算書類および附属明細書 賃借対照表 損益計算書 株主資本等変動計算書 個別注記表 | 作成した日 |
⑩会計帳簿および事業に関する重要書類 総勘定元帳 各種補助簿 株式申込簿 株式台帳 配当簿など | 帳簿閉鎖の日 |
会社法に規定される「会計帳簿および事業に関する重要書類」が具体的に何をさすかは諸説ありますが、ここでは一般的な基準による主なものをあげています。
①~⑥帳簿閉鎖日および書類作成び・受領日の属する事業年度終了の日の翌日から2か月を経過した日(当該事業年度分の申告書提出期限の翌日)
結論は、決算が終わってから7年間保存して下さい。
①取引に関する帳簿(仕訳帳、現金出納帳、固定資産台帳、売掛帳、買掛帳など) |
②決算に関して作成された書類(棚卸表など) |
③現金の収受・払い出し、預貯金の預入れ・引出しに際して作成された取引証憑書類(領収書、預金通帳、借用書、小切手・手形控、振込通知書など) |
④有価証券の取引に際して作成された証憑書類(有価証券受渡計算書、有価証券預り証、売買報告書、社債申込書など) |
⑤取引証憑書類(請求書、注文請書、契約書、見積書、仕入伝票など) |
⑥電子取引の取引情報に係る電磁的記録(注文書、契約書、送り状、領収書、見積書など) |
⑦資産の譲渡等、課税仕入、課税貨物の保税地域からの引取りに関する帳簿 |
⑧課税仕入等の税額の控除に係る帳簿、請求書等(5年経過後は帳簿または請求書等のいずれかを保存) |
⑨給与所得者の扶養控除等(異動)申告書、給与所得者の配偶者特別控除申告書、保険料控除証明書 |
⑩給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書 |
⑪源泉徴収簿(賃金台帳) |
まず、賃借対照表、損益計算書、総勘定元帳等の計算書類も含まれますが、これらは会社法で10年保存が義務づけられていますので、あと3年ガマンしましょう。
更に、法人税法で「欠損金の繰越」について何度か改正がありました。
平成23年12月改正 ⇒ 欠損金繰越期間が9年に延長
平成27年度・28年度改正 ⇒ 欠損金繰越期間が10年に延長
このため、該当する期間に赤字が出て欠損金を繰越す場合には、繰越期間と同様に9年又は10年間、資料を保存しなければなりません。
結論・・・法人は10年間保存。
いちいちその年の状況をチェックする必要がなく分かり易いです。
所得税(個人の事業者)の方は、最長7年間保存すれば大丈夫です。
所得税法でも書類の保存義務がありますが、青色と白色に分けて規定されています。
以下の、国税庁のホームページの記事を見てみましょう。
青色申告の場合
白色申告の場合
5年と7年が入り混じっていますが、法人に比べて比較的資料が少ないこともあり、すべて7年と考えると簡単ですね。
整理のコツ
やはり、年度別に整理することが鉄則です!
しかし、資料の大きさがまちまちであったり、領収書や請求書は量が多かったりしますので、ある程度種類別に分けて箱詰めがお勧めです。
一度箱詰めすると二度と見ないことも多い経理資料・・・・
環境問題を考えると、立派なファイルに綴じて片付けるよりも、むしろ「簡単な表紙」と「綴じ紐」で量を少なくする方が地球にやさしくていいですね!
文書名 | 起算日 |
雇用保険に関する書類(雇用保険被保険者関係届出事務等代理人選任・解任届など) | 完結の日 |
健康保険・厚生年金保険に関する書類(被保険者資格取得・喪失等確認通知書、標準報酬決定通知書、同改定通知書など) | 完結の日 |
家内労働手帳 | 最後の記入日 |
整理のコツ
せっかく2年でよい社会保険関係資料なのですが・・・
社会保険資料といっても種類は多くあります。
年金事務所やハローワークなどに最初に届出た「事業所設置届」などは永久保存に近いでしょう。
また、従業員さんのに関するものは、その従業員さんが勤務されている限り捨てれないですね。
うちの「まるも」さんも10年超えですが、若々しい頃の履歴書が今だしっかり保存されています!
これらは、人事用のファイルがあると便利です。
この資料は何年と限定できず、いつも必要なものが保存されている状態がベストです。
整理に最適ツールは、永久保存と同じA4の「クリアフォルダー」がお勧めです。
文書名 |
在職者の履歴書 |
健康保険・厚生年金保険 新規適用届 |
健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届 |
第3号(扶養)や異動届 |
労働保険 保険関係成立届 |
雇用保険 事業所設置届 |
雇用保険 被保険者資格取得届 など |
毎年提出する、保険料の届やその通知書、及び離職者の資料はどうでしょう?
給与関係資料と一緒に年ごとに綴ってしまうと、見るのも捨てるのも便利。
給与計算は、会社の事業年度と締め日が異なり、暦年で年末調整を行いますので、どちらに入れるか迷うかもしれません。
12月(年調が終わった時)が含まれる年の箱に、給与計算+年末調整資料+社会保険資料をセットにして綴って箱詰めしてしまうとスッキリします。
文章名 |
社会保険の算定基礎届 |
社会保険料決定通知書 |
労働保険 概算保険料申告書 |
その他扶養の確認など毎年送付されてくるもの |
離職者の社会保険関係資料一式(少し長く保存されている会社もあります) |
もちろん、大きな企業は従業員さんが多く、社会保険資料も多くなりますので、この限りではないでしょう。