2019年11月20日
コロナによる自粛の影響で経営困難になっている会社に対し、融資・補助金助成金・納税等の繰延など、多くの救済措置が発表されました。
テレワーク助成金は申請が殺到していると聞きます。
しかし令和2年5月1日、地味に経営強化法もテレワークなどの「デジタル化設備」が追加されました。
「デジタル化設備」とは、どんな設備でしょうか?
中小企業庁のホームページを見ると、テレワークなど在宅勤務に必要な設備をイメージして制度がつくられたと思われます。
しかし、別のキーワードとして「経営資源等の最適化」という言葉が使われています。
経営資源といえば、一番に思いうかぶのが
人財!!
ですね。
コロナで恩恵があるとすると、一気に遠隔操作などのソフトが開発と普及したこと。
普及をすると価格もリーズナブルなものが登場してきますので、あなたの会社の人財が更に活躍できそうなものがあるかもしれません。
また、コロナ後もしばし経済的に厳しい状況が続くと予想されますので、業務を効率化し、解雇や減給をしない、または超過労働にならないための設備投資ができるかもしれません。
対象となる設備について、中小企業庁のホームページをコピペしました。
※「経営資源等の最適化」とは、「設備、技術、個人の有する知識及び技能等を含む事業活動に活用される資源等の最適な配分等」をいいます。
詳しくは、中小企業庁「テレワーク等を促進するために中小企業経営強化税制が拡充されました」をご参照ください。
では、経営強化法とは、どんな法律だったでしょうか?
「知らない??」という方は、是非、以前の記事をご参照ください。
「経営力向上計画」たるものを作成し国の機関の認定を受けると、税制や融資でとても有利な制度があります。
法人について、例を挙げてみましょう。(新規開業・個人所得税などは計算が異なります)
テナント店舗設備2,000万円(耐用年数15年)かけて支店をオープンし、年収300万円のスタッフを5人雇用(増加人件費1,500万円)する計画があることにしましょう。(期首にオープンし、その他の経費増減を考慮しないで計算)
節税額は
①償却費の増加 20,000,000円(即時償却)ー 1,340,000円(通常償却)= 18,660,000円経費増加
②法人税節税額 ①×30.62%(実行税率)= 5,713,692円
③所得拡大税制 300万円x5名x上乗せ率10% = 1,500,000円税額控除
節税額合計 → ②+③=7,213,692円 です。
これは、あくまでもイメージです。
他の出店経費や既存事業の業績なども関連しますので、現実はここまでスッキリ計算はできません。
また、例題の法人税の節税以外にも、かなり手厚い優遇措置があります。
投資計画を実行するための資金が必要となり、すべての事業者の方が取り入れられるものではありません。しかし、新規事業や業務の拡大など一定の設備投資を考えているという事業者の方は、是非利用していただきたい制度です。
この制度は2016年に創設されましたが適用を受けた事業者は、まだ全事業者に対して数パーセント、あまり使われていません。
申請は少し大変で面倒なのですが、今年の春に改正され、投資資産の償却等のみでなく、人件費の増加に対する税額控除や融資支援など、さらにメリットが拡大されました。
やはり使えるものは使わねば損ですね!
税制措置
認定計画に基づき取得した一定の設備や不動産について、所得税又は法人税や不動産取得税等の特例措置を受けることができます。
認定計画に基づき経営力向上が確実に行われた証明がされた場合において、前年(前期)に比べ給与支給額が増加し、一定の要件をクリアすれば、本来の税額控除(増加額x15%)に上乗せ10%(合計25%)の税額控除を受けることができる。
金融支援
政策金融機関の低利融資、民間金融機関の融資に対する信用保証、債務保証等の資金調達に関する支援を受けることができます。
法的支援
業法上の許認可の承継の特例、組合の発起人数に関する特例、事業譲渡の際の免責的債務引受に関する特例措置を受けることができます。
「経営力向上計画」とは、人材育成・コスト管理等のマネジメントの向上や設備投資など、自社の経営力を向上するための計画です。
基本的に、計画は実行をする事業者の方が作るものですが、制度が複雑で専門用語も多いことから、 認定経営革新等支援機関(商工会議所・商工会・中央会や士業、地域金融機関等) に相談しながら作成した方が無駄な労力を使わず合理的でしょう。
実際に経済産業省の方と話しをした際に、自力で申請される場合、承認までに苦労される方が多いと伺いました。
当所は税理士事務所のため税制を中心に、今回は上記の「税制措置」についてご説明します。
また、 認定経営革新等支援機関にも該当し、この「税制措置」について実際に支援した企業さまは、今のところ100%認定を受けておられます。
注意点!措置法のため改正が多く、各制度により適用対象の定義が異なる場合、新旧制度により範囲が変わる場合、更に制度が終了してしまうなど変更が激しいので、適用を受ける際には必ず最新の情報を確認お願いします。
期間
平成29年4月1日から令和3年3月31日
対象事業者
青色申告書を提出する中小企業者等(詳細は末尾の「参照 用語の説明」①を確認ください)
対象資産
下記に掲げる資産で新品のもの。(貸付用は対象外です)
(注)所有権移転外リース取引により取得した特定経営力向上設備等については、特別償却の規定は適用されませんが、税額控除の規定は適用されます。
特定経営力向上設備等
上記の対象資産のうち、下記のA又はB類型に該当する資産
指定事業
あなたの会社が、以下の業種に該当するか?ご確認ください。
製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、採石業、砂利採取業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、小売業、料理店業その他の飲食店業(注1)、一般旅客自動車運送業、海洋運輸業及び沿海運輸業、内航船舶貸渡業、旅行業、こん包業、郵便業、情報通信業、損害保険代理業、不動産業、物品賃貸業、学術研究、専門・技術サービス業、宿泊業、洗濯・理容・美容・浴場業、その他の生活関連サービス業、映画業、教育、学習支援業、医療、福祉業、協同組合(他に分類されないもの)、サービス業(他に分類されないもの)
(注1) 料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する飲食店業については、生活衛生同業組合の組合員が営むものに限り対象となります。
(注2) 電気業、熱供給業、水道業、娯楽業(映画業を除く)等は対象になりません。
また、性風俗関連特殊営業に該当する事業も対象となりません。
1.「申請のための書類」を取寄せ又は申請する
A類型の場合
工業会等による証明書の写しを取り寄せる
その方法は、「証明書取得の手引き」を参照ください。
B類型の場合
①経済産業局へ以下の書類を申請(これが一番大変な作業です)
・ (記載例)B類型様式1(確認申請書) ➡申請事業者作成
・ B類型様式1別紙(基準への適合状況) ➡申請事業者作成
・ B類型様式2(事前確認書) ➡顧問の税理士・会計士に記載を依頼するものです
②経済産業局が内容の確認後、面接があり、承認されればB類型様式3(確認書) が提出書類一式と共に郵送されます
経済産業局への申請の流れや方法は、「収益力強化設備にかかる経産局確認の取得に関する手引き」を参照ください。
また、 B類型様式1別紙(基準への適合状況) 、 B類型様式2(事前確認書) などの様式は、 中小企業庁のホームページ「経済産業局による確認書について」からダウンロードすることが出来ます。
注意点等
A・Bどちらも申請から交付まで時間を要する可能性がありますので、余裕を持って準備に取り掛かる必要があります。
また、スムーズに承認されるためには、提出する資料に不備がなく、特にB類型の場合は、提出する資料の内容や数値について、根拠資料もきちんと添付して立証できるようにしましょう。
なお、これらの提出資料は事前にメール等で各諸官庁の方にチェックしてもらえます。
2.経営力向上計画を作成、各事業分野の主務大臣に計画申請書を提出
作成する書類はそれほど難しくはありません。A4用紙4・5枚程度です。
申請書は自分の事業が属する分野によって指針があり、その指針に沿って作成しなければなりません。
サンプルとして、中小企業庁のホームページに載っているもののうち、小売業を見てみましょう。
申請書の様式・事業分野の「経営力向上に関する指針」・提出先など詳細は、中小企業庁のホームページを参照ください。
読むのは少々大変です・・・
3.変更手続き
計画を変更しようとする場合(追加取得等)は、その設備取得前に再度主務大臣の認定を受ける必要があります。
例外として設備取得後に計画変更申請をする場合は、取得日から60日以内に変更申請が受理されることが必要です。
4.優遇税制の適用と資料を添付
①即時償却 又は 税額控除7%(特定中小企業等は10%)を選択適用
※税額控除は、他の税額控除と合わせて法人税額の20%が限度です
②添付資料
・ 償却限度額の計算に関する明細書
・ 経営力向上計画の写し
・ 経営力向上計画に係る認定書の写し
このブログは要約しています。(全て記載すると読みたくない記事になります・・・)
更に細かい条件がありますので、適用の際は詳細を国税庁ホームページで確認して下さい。
5.実施状況の報告(B類型の場合)
無事承認を受け、計画通り資産を購入し、税額控除や金融支援などの適用を受け・・・それで終わりではありません。
計画を実施した翌年(法人は翌期)以降、3年間にわたり実施状況報告を経済産業省へ提出しなければなりません。
具体的には、申請時に提出した計画書に実績を書き込んで提出します。
詳しくは、実施状況報告の手引きを参照ください。
今春、新しく追加された制度です。
1.上記の「主務大臣からの経営力向上計画」の認定を受けていること
2.適用年度終了後、経営力向上がおこなわれたことに関する報告書(経営力向上報告書)を作成し、経済産業省へ提出する。
この報告書は経営力向上計画申請プラットフォームの 「経営力向上が行われたことに関する報告書」 から行うことができます。
3.税務申告書に以下の資料を添付し、税額控除を受ける。
・認定を受けた経営力向上計画(変更の認定を受けている場合は変 更後のもの)の写し(コピー)
・経営力向上計画の認定書の写し(コピー)
・経営力向上報告書(ステップ2で報告したもの)
償却資産税を含む「固定資産税」は地方税です。
そのため、あなたの事業がある市町村に申請を行う必要があります。
当所は福岡のため、福岡市について説明いたします。
対象者
申請に必要な資料
福岡市では、市内中小企業が策定する「先端設備等導入計画」を審査し、福岡市の「導入促進基本計画」に合致する場合に認定を行います。
申請者は、認定経営革新等支援機関(商工会議所・商工会・中央会や士業、地域金融機関等)に予め計画の確認を受けて、福岡市に申請する必要があります。
(1)申請に必要な書類(1、4、5の書類は、福岡市独自で必要な書類です。)
(2)固定資産税の特例の対象となる設備を含む場合
(1)に加え、下記の資料も必要です。
詳しくは、福岡市の生産性向上特別措置法に基づく「先端設備等導入計画」の認定申請のご案内をご確認ください。
①中小企業者等
個人事業主と中小企業者又は農業協同組合等
②A類型: 生産性向上設備
次の(イ)及び(ロ)の要件を満たす機械及び装置、工具(測定工具及び検査工具に限ります。)、器具及び備品、建物附属設備並びにソフトウェア(設備の稼働状況等に係る情報収集機能及び分析、指示機能を有するものに限ります。)をいいます。ただし、ソフトウェア及び旧モデルがないものは次の(イ)の要件を満たすものになります。
(イ) 販売が開始されてから、機械装置:10年以内、工具:5年以内、器具及び備品:6年以内、建物附属設備:14年以内、ソフトウェア:5年以内のものであること。
(ロ) 旧モデル比で経営力の向上に資するものの指標(生産効率、エネルギー効率、精度等)が年平均1%以上向上しているものであること
②B類型: 収益力強化設備
年平均の投資利益率が5%以上となることが見込まれるものであることにつき経済産業大臣の確認を受けた投資計画に記載された機械及び装置、工具、器具及び備品、建物附属設備並びにソフトウェアをいいます。