2019年12月13日
皆さん、医療費控除を受けたことがありますか?
「1年を通して、医療費が多くかかったら、確定申告すると税金が戻ってくるらしい」 ・・・というくらいいのイメージはあるのではないでしょうか?
どのような医療費が対象で、どのくらい控除されるのか見ていきましょう。
また、若くて健康な方が将来の病気に備えると医療費控除が受けれる制度、「セルフメディケーション税制」も要チェックです。
アレルギーや鼻炎、疲れ対策の薬など、以外と知っている薬も範囲に入っているようです。
その年の1月1日から12月31日までの1年間で、本人または本人と生計を一にする親族に支払った医療費が一定額を超えると所得控除を受けることができる。
というのが概要です。本人がその人を扶養しているかどうかというのは問われません。(バリバリの共働き夫婦でも、どちらか一人に合算して控除を受けられるということですね。)
前年や翌年(確定申告が年明けにあるので、時々翌年のものが混ざっていたりします)の医療費は対象外ですのでご注意ください。クレジット払いの場合は、カードを切った日が基準です。(引落が翌年でもOK)
収入が給与のみの人でも年末調整で控除できず、会社からもらった源泉徴収票と医療費の領収書を基に確定申告をしなければ控除を受けれません。
確定申告の時期になると、税務署以外にも特設会場ができ、受付をしてくれます。
私もそこで1度だけ医療費控除をとるために確定申告をしたことあるのですが、30分かけて会場に行き、行列に並んで3時間かけて申告し、戻ってきたのは3,000円にも満たない金額でした。時給に換算すると悲しいもので…医療費控除のみや簡単にすむ申告は自宅でできる郵送かe-Taxがお勧めです。(残念なことに、佐治事務所に入る前だったので、そんな便利なシステムがあるなんて知らなかったんですよね)
では、自分でする方法について、よく間違えるポイントを入れながらご説明します。よかったら見てください。
まず、控除できる医療費額の上限は最高で200万円です。
控除額の計算は以下の式で算出します。
(支払った医療費の金額-保険金等で補填される金額)- 足切り額
例えば、全体の医療費が15万円(そのうち怪我の治療費が3万円)・けがに対する保険金が5万円降りたとします。その際、医療費から引く金額は3万円となりなす。怪我以外の医療費から引く必要はないということです。
10万円 と 総所得金額×5% ⇒ いずれか少ない方
「医療費が10万円超えたら税金が戻る!」と耳にしたことがある方もいると思いますが、ほとんどの方が10万円と計算されることから「10万円を超えたら」とざっくりとはなしが広まったようです。ただし、 その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額です。 所得が200万円以下の人は10万円以下でも控除が取れるということですね。
では、医療費とはどんなものがあるのでしょうか?
何でもかんでも入れられるというわけではありません。対象項目でも『一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額』という但し書きがあります。つまり ”ぜいたく” な部分はダメということです。
国税庁のHPにも【医療費控除の対象となる医療費】と題して説明が書いてあります。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1122.htm
ちょっと難しいですよね。具体的な例も交えてひとつづつ解説していきます。
治療を目的として、病院や医師に支払った医療費です。
<対象外の例>
<意外と知られていない、条件付きで対象となる費用>
病院や薬局に払うお薬代です。
<対象外の例>
薬局(ドラッグストア)で購入する<第1類>~<第3類>の医薬品も控除対象ですが、それが、治療のために購入されたという証拠が必要です。購入したときに、日付・薬の名前・金額を書いてもらうようにしておくことが望ましいとされています。
医師などから診察を受けるために直接必要なものや、 松葉づえ(通院用)、義手義足など、 医師の指示のもとに購入・賃借のために払った費用です。
<対象外の例>
診療代、部屋代、食事代や医師の診療を受けるための器具購入費用等入院中にかかる費用です。
<対象外の例>
妊娠と診断されてからの定期健診費用、その他の検査費用、助産師による分娩介助料等の費用です。
人工授精や不妊治療、母体保護法に基づく理由での中絶費用、流産した際の手術費用、出産で入退院する際のタクシー代、保健指導料(乳房管理法を含む)など幅広く対象となっています。
<対象外の例>
施設等から発行される領収書に日常生活費や、特別なサービス料は除いた医療費控除の対象となる額が記載されています。
その対象となる金額のみを集計して下さい。
病院に行くための公共の交通機関の料金(付き添い人が必要な場合は付添人の交通費も対象です)、駐車場代も控除対象となります。
ただし、ガソリン代や高速代、タクシー代(やむをえず使用した場合は対象)は対象外となりますので、ご注意ください。
2017年より医療費控除の代わりに、健康増進や疾病予防の取り組みを行っている方が、その年中に自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために12,000円以上の対象医薬品を購入した場合には、その購入費を控除する税制が始まっています。
まだ、あまり馴染みのない制度ですね。
しかし、健康診断などを行っている人は、従来の医療費控除の足切り額10万円に比べて、非常にハードルが低いので、知っておく価値はありそうです。
セルフメディケーション(自主服薬)推進のためのスイッチOTC薬をドラッグストアなどで購入し、健康維持促進・疾病予防に取り組む方が、従来の医療費控除に替わって(ダブルで控除することが出来ません)受けることが出来る所得控除の制度です。
「健康の保持増進及び疾病の予防に関する一定の取組」を行っている居住者
一定の取組みとは、下記のように自分の健康のチェックや予防接種など、病気にならない、又は悪化しないための取り組みをいいます。
注1)申告される方が一定の取組を行っている必要があります(申告される方と生計を一にする配偶者その他の親族の方が「一定の取組」を行っている必要はありません。)。
よって、自分が取り組んでいれば、家族の医薬品購入代も対象になります。
注2) 「一定の取組」に要した費用は控除の対象となりません。
なお、この控除の適用を受けるには、「セルフメディケーション税制の明細書」と「その取組を行ったことを明らかにする書類」を確定申告書に添付します。
明細書は医療費控除と似ていますが、このような書式です。
注1)一定の取組を行ったことを明らかにする書類のうち、結果通知表は健診結果部分を黒塗り又は切取りなどをした写しで差し支えありません。
注2)経過措置として、平成31年(2019年)分の確定申告までは、明細書ではなく領収書の添付又は提示によることもできます。
対象医薬品は、医師によって処方される医薬品(医療用医薬品)、薬局やドラッグストア等で購入できる医薬品に転用された医薬品(スイッチOTC医薬品)とされています。
パッケージのマークを確認して、同じような効用のものを購入するときは優先して購入することもできますね。
一部の対象医薬品には、 パッケージにセルフメディケーション税制の対象である旨を示す識別マークが掲載されています 。
また、 購入した際の領収書(レシート)に控除対象であることが記載されています。
具体的な対象医薬品の一覧表が、厚生労働省のホームページに「 セルフメディケーション税制対象医薬品 品目一覧(全体版)」として載っていますので、関係ある方・興味のある方は一度確認してみて下さい。
以外と、アリナミンEXや目薬など使っていそうなものがありますよ!
医療費控除を受けるには、医療費の領収書を1年分保管し、集計しなければいけません。
通常の診察だと1回数百円なので、ちょっと手間はかかりますが、それさえすれば控除が取れます。
定期的に通院され、毎年、医療費控除を受ける方はコンスタントに領収書を保存されていますが、以外と捨ててしまっている方が多いものです。
しかし、突然の病気や事故などで入院することもあります。
それが年の初めであれば、きっとその後は領収書を保管されるのでしょうが、年の途中や終わりに事が発生すると、以前のものはどこにあるのか分かりません・・・
そのような「もったいない」ことにならないためにも、どこか医療費保管場所を決めてみて下さいね!
とりあえず領収書を保管して、「正月に10万円超えそうだな」と思ったら、年賀状のお年玉抽選や年末ジャンボのチェックと一緒に集計してみてはいかがでしょうか??
今年はもう遅い・・・という方へ
年が明けた頃、加入している保健機関から前年分の医療費が集計された【医療費のお知らせ】が (会社員の方は会社経由で) 届きます。そのお知らせも医療費控除の手続きの資料として使用可能となりました。 11月くらいまでしか集計されていない協会もあるので、集計に入っていない部分は領収書で集計してください。
これなら今から今年の分を集めても間に合いそうです!
ただし、薬局で買った風邪薬などは記載されていないので、是非、来年からはオリジナル医療費保管作戦を決行されてみて下さいね!
給与所得のみの方は、源泉徴収票と医療費の明細・領収書があればできます。
入力の前に手元の領収書を病院ごと、薬局ごと、介護施設ごと等支払先ごとに分け、合計しておくと入力する手間が減ります!
国税庁 e-tax確定申告書作成コーナーは、こちらから。
このサイトの説明はとても分かりやすかったので、サイトに出てきたとおりに入力していけば完成します。
完成したら、プリントアウトして管轄の税務署へご郵送してください。(親切なことに、管轄の税務署の住所も申告書と一緒にプリントアウトされます。)
途中でやめるときは保存もできます。
往復1時間かけて会場に行き、3時間並んで申告するよりずっと楽だと思います。ぜひ挑戦してみて下さい。因みに、確定申告会場で記載する医療費控除の紙はこんな感じです。
医療費についてはこれで作成完了です!