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とりあえず遺言書を書いてみる???自筆証書遺言の保管制度ができました

2020年6月15日

今年は相続について40年ぶりの改正が行われました。

従来よりも気軽(自分で手書き)に、かつ安価な方法で正式な遺言書を作ることができ、なおかつ保管してもらえる制度が誕生しました。

なぜ?遺言書が必要なのか?

遺言書を書くと、以下のようなメリットがあります。

  1. 亡くなったとき、親族がスムーズに資産をもらえる(名義変更や登記などが楽)
  2. 資産がかなり多い場合、事前に承継を決めた方が良い(親族が争わない)

若いうちから相続承継を考えて遺言書も作成しておいた方が良いとお考えの方も沢山いらっしゃるでしょう。
しかし遺言書の作成は、いろいろな意味で大変です。

自分の財産を一覧に書き出して・・・
誰に何を渡すのが一番良いか考えて・・・
それが公平なのか悩んで・・・

正式な遺言書(公正証書)にする場合は、

正式な文章に落として、
そこそこの料金を支払い、2人の立会人を探して・・・
公証役場を予約して・・・

多くの方が、一旦できあがった遺言書を読み返すと、本当にこれで良いのか再度悩んでしまい・・・
なかなか公正証書にする決心がつかないと言われます。

  

既存の自筆遺言書の場合は、

自分が思うままに書けるため、作成自体は難しくないでしょう。
しかし、亡くなった時のために誰かに託すのか?
保存する金庫を購入するのか?借りるのか?
はたまた、どこかに隠すと相続人の方は知らないまま、遺言書は闇に葬られるのかもしれません。

  

だいたい、自分が死んだ後のことなんて想像も付かなかったりしますね。

  

しかし、今回の改正で「ちょうど中間」の良いとこどりのような制度ができました!
とりあえず現状で一番良いと思われる案で、いったん遺言書を書いてみる、気が変われば書き直せばよいのです。

一度作成してみると、少し肩の荷が軽くなるかもしれません。

  

自筆証書遺言の保管制度とは?

では、自筆遺言書の保管制度とは、どのような制度でしょうか?

  1. 施行日
     令和2年7月10日から利用できます。
  2. 制度の内容
     法務局(支局その他含む)に遺言書を保管してもらえます。
     遺言者は、遺言書保管官に遺言書の保管の申請をします。
  3. 申請場所
     遺言者に関する以下の場所を所轄する法務局
     ・住所地
     ・本籍地
     ・所有不動産の所在地
  4. 申請書の記載事項
     ・作成年月日
     ・遺言者の「氏名」、「出生年月日」、「住所」、「本籍」
     ・次に掲げる者の記載があるときはその氏名又は名称及び住所
      (A)受遺者
      (B)遺言執行者(民法1006条1項)
     ・その他、法務省令で定める事項
  5. 注意事項
     ・遺言者が申請をするときは遺言書保管所に自ら出頭して行わなければなりません。 
     ・遺言書本文は自筆で書きます。しかし財産産目録はパソコンなどで作成可能です。 
     ・押印は認印でも大丈夫です。
     ・不動産がある場合は、司法書士さんなどへ記載内容をチェックして頂いた方が良い場合があります。
      なぜなら、登記する場合には書式に制約があります。 
  6. 裁判所の検認不要
     自筆でも、遺言書保管所に保管されている遺言書は裁判所の検認が不要となりました。
  7. 撤回
     遺言者はいつでも保管の撤回をすることができます。
  8. 遺言書情報証明書の交付
     遺言者の相続人(その他一定の者)は遺言書(その遺言者が死亡している場合に限る)の遺言書情報証明書の交付を請求することができます。
  9. 遺言書の保管申請料
     3,900円
     別途保管料などはかかりません。

  

具体的な書き方は、法務省ホームページに詳しい説明がありましたので、ご紹介します。

  

  

法務省ホームページより

画像が悪い場合には、こちらの法務省の「自筆証書遺言書の様式について」をご確認ください。

  

注)用語の説明
   相続人となるべき者・・・・(推定相続人と言います)

   法律上、財産を継ぐべき人、例えば長男日本一郎に渡す場合は、
   「相続」させると記載します。

   推定相続人以外の者へ渡す場合には、○○へ「遺贈」すると書きます

以前に比べると、かなり作成しやすくなりましたが、専門用語も多く、どのようなものが相続財産となるかなど、慣れていない方には難しい部分がありますので、やはり税理士などの専門家へ一度相談されることをお勧めします。

  

従来からの方法との比較

公正証書遺言書

公証人が作成する従来からある方法です。

非常に安心できる制度で、現在でもお勧めです。

自筆遺言書保管制度との違い

  • 公証人が遺言の内容についてもチェックしてくれます。
  • 作成は公証人が行います自筆する必要はありません。
  • 場合によっては、出張して作成していただけます。(闘病中など)
  • 不動産など相続登記がスムーズです。
  • 費用は5万~15万円(遺言書の枚数などによる)程度と高めです。

  

自筆遺言書

自筆で作成し、自分で保管しておく方法です。

一番簡単な作成方法ですが、せっかく作成した遺言書が日の目を見ないことも・・・

自筆遺言書保管制度との違い

  • 相続人が相続する際に、その内容について裁判所の検認が必要です。
  • その在りかを伝えず亡くなられた場合、相続人がその存在を知らない場合があります。
  • 改ざんの恐れもあります。
  • 封筒に封印が必要です。
  • 便せんと封筒、筆記用具があれば作成できるため、ほとんどコストがかかりません。