2020年8月12日
昨年、2019年10月より消費税が増税され10%となりました。
消費者の皆さんは、この10%改正以降は今のところ増税は決まっていません。
しかし、事業者の皆さんは段階的な改正の始まりに過ぎません・・・
ここ10年間の消費税の移り変わりについて、きちんと理解しておかなければ、商売を行っていく上で不利な待遇を受ける可能性があります・・・・・
では、これからの消費税の制度が、どのように変わっていくか?
図を参考に見てみましょう!!
カラフルなタイムスケジュールですね!
色が変わるごとに何らかの変更があります。
黄色の時期は昨年9月で終わりました。
消費税が8%だった時代です。
現在はオレンジの時期です。
消費税の標準税率は10%(軽減税率8%)で、請求書の書き方も以前とは変わりました。
「区分記載請求書等」について、どのような項目を記載する必要があるのか?は、「消費税増税の準備」のブログを是非ご参照ください。
現在、経理をされている方は10%と8%を分けて入力するだけでも事務負担が増加されていることでしょう!!
税率や発行書類の方式など、実務的な変更はありませんが、2023年10月開始の「インボイス制度」に備える時期です。
この時期にすべきことをピックアップしてみました。
消費税の課税事業者である方は、「適格請求書発行事業者」になるために税務署へ登録申請(「私は課税事業者です」という申請のようなもの)する必要があります。
インボイス制度が開始されると同時に消費税を売った時にもらうためには、2023年3月31日までに申請することとされています。(番号の発行期間が必要なのでしょう)
この申請をすることにより、適格請求書発行事業者であることを証明できる番号が発行されます。
上記の領収書の一番下にある、「登録番号」のことです。
支払いをした相手側の事業者は、この番号がある請求書・領収書のみ仕入税額控除を受けることができます。
この、相手側で「仕入税額控除」ができるか否かが、今回の改正で問題となるのではないかと言われています。
ということは、
税込価格が同額の業種(タクシー会社(課税)と個人タクシー(免税)の運賃など)では免税事業者の実質価格が高くなってしまうという問題が生じます。
また、免税事業者と取引をしている企業は、さらに経理事務の負担が増えますね。
どういうことでしょう?
上記のタイムテーブルを見てみて下さい。
2023年10月を境に、だんだん免税事業者からの控除額が少なくなっていきます。
商品ごとに10%と8%の区別をする必要がある上、課税事業者か?免税事業者か?支払先を区別して消費税を計算しなければならなくなります。非常に面倒であるため、特に取引先が多い大企業は仕入や経費の業者を課税事業者に限定するのではないかとも言われています。
そのため、個人事業者やフリーランスの方は免税事業者に該当するにもかかわらず、あえて自分から「課税事業者になる」という選択をせざるを得ない可能性が出てきました。
このように、緑の時期は今後の状況をしっかり見極めるための大切な期間となります。
さらにインボイス制度が導入されると、上記の領収書サンプルのように2項目(赤い字の項目)が増えます。
請求書・納品書・領収書などの発行をする場合にレジや販売ソフト、そして経理をする会計ソフトなどが対応可能であるか事前に確認が必要です。
手書きの方は???大変ですね・・・
とうとうインボイス制度が始まります。
では、インボイス制度とは何でしょう?
インボイス制度に対応した請求書などの書類にどのような項目を記載しなければならないか?、下記の表で確認しましょう。
黄色の時期は4項目であった記載事項が、オレンジの時期に6つへ、そして青の時期から8項目と増税前と比べて倍増します。
複数税率って、本当に面倒ですね!!(廃止してくれないかなぁと思うばかりです)
そして、免税事業者からの仕入(会計上は支出に近い)についての仕入税額控除は80%に下がります。
免税事業者からの仕入税額控除が、さらに50%に下がります。
免税事業者からの仕入税額控除がなくなります。
以上が昨年2019年10月から約10年間の消費税の推移です。
2・3年ごとに何等かの変更があるため、現場は本当に混乱しかねませんね・・・
2020年7月30日 日経新聞に「請求書完全電子化へ」という記事が掲載されました。
その概要は、政府とソフトウェア企業など約50社が協力して日本のデータ使用を統一し、請求書や領収書などを紙でなく、クラウドなどを利用してデータでやり取り可能にする取り組みを始めたというものです。
興味のある方は、日経新聞の記事をご覧ください。ただし、有料版でなければ全体は見れないのですが・・・
その記事の解説図を記載させて頂きました。
2020年7月30日 日本経済新聞1面記事より
政府は、このようなシステムの導入を2023年10月までに目指しているようです。
そう、「インボイス制度に間に合うように。」ということですね!
このシステムが間に合えば、同じデータを売り手と買い手が共有しますので、税額などが複雑になってもデータを取り込むだけて一致することになり、個人事業者やフリーランスが免税事業者であっても事務負担は増えないことになります。
しかし、取引を行う事業者は、これに対応したシステムを使いこなさなければならない、という別の問題がでてきますね・・・
システムは請求書等のみでなく、税務や社会保険関係のなどの申告についても順次デジタル化される方針です。
また、これらのデジタル化に付随して「紙の保存を不要にする制度」も、さらに規制緩和が進みそうです。
(現行の制度は、中小企業にとって、あまり実用的とは言えないのですが・・・)
今後はデジタル化社会に向けて、政府のみでなく、企業や個人も対応していかなければならない時代になりそうですね・・・