2019年11月2日
あなたに配偶者がいる場合の所得控除は「配偶者控除」と「配偶者特別控除」(いずれか一つの適用)の2つです。
配偶者の所得が38万円以下の場合は「配偶者控除」、所得が38万円を超えた場合は123万円になるまで「配偶者特別控除」の適用があります。
ただし、2018年の改正により、配偶者の所得のみでなく、世帯主本人の所得によって控除額が変わるという、とても複雑は仕組みとなりました。
今、誰の所得について見ているのか?、集中して考えないと途中で訳が分からなくなるかもしれません(笑)
まずは、全体のイメージを見て頭を整理してみましょう。
下の図は、配偶者の所得が増える(右側へいく)に従って控除できる制度と控除額の推移を表しています。黄色の部分が「配偶者控除」、青色の部分が「配偶者特別控除」の適用がある配偶者の所得です。
これを見ると、配偶者所得0円から85万円まで、控除額は38万円(本人の所得が900万円以下の場合)で変わりませんが、配偶者の所得が38万円のところで、適用される制度は「配偶者控除」から「配偶者特別控除」に切り替わっています。
給与所得の早見表は、下記URLから国税庁のホームページを参照して下さい。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/nencho2018/pdf/81-89.pdf
「給与所得」が分からない方は、下のページを再度確認してくださいね!
この章では、夫婦共に会社勤めの前提で話が進みます。
しかし、別の収入がある方は「所得の計算方法」が全く違うので注意が必要です。
給与以外の所得がある方は、こちらをチェック!
「所得とは何ぞ?」が分かったら、「まる配※」に、あなたと配偶者の所得金額の見積を記載します。 下の黄色の部分のうち左があなた、右が配偶者、それぞれ記入して合計所得金額を出しましょう。
※「まる配」は私が勝手に決めた(たぶん皆こう呼ぶのでは?と思う)「給与所得者の配偶者控除等申告書」の愛称です。
あなたの本年中の合計所得金額の見積額の区分を決める
次は、あなたの所得が(A)・(B)・(C)どの区分該当するか確認し、区分Ⅰにチェックを入れましょう。
所得金額が、(A)は900万円以下、(B)は900万円超~950万円以下、(C)は950万円超~1,000万円以下です。
このA~Cの区分Ⅰは「配偶者控除」と「配偶者特別控除」のどちらにも使います。
太郎さんの所得は980万円なので、区分Ⅰは(C)になります。
よく見ると1,000万円以下までしか区分がありません。
そう、所得が1,000万円を超える人は、配偶者控除も配偶者特別控除も両方適用できません。
最近の所得税は、高額所得者に冷たいですね・・・
華子さんの給与収入は170万円のため、所得が102万円>38万円となり配偶者控除の適用がありませんが、他の方のためにも、配偶者控除の対象となる配偶者の要件を確認しておきましょう。
上の全体像でも見ましたが、改めて配偶者控除の控除額は以下のとおりです。
給与所得者の配偶者控除等申告書の記載
用紙の記載手順は、左下の表を見ながら、黄色の部分を記入したりしますが・・・正直言って必要ないです。
右下の黄色い「配偶者控除の額」に結論の控除額を記載して下さい。
扶養控除等申告書の記載
「まるふ」の申告書の記載も忘れないで下さいね!
黄色部分の源泉控除対象配偶者の欄に必要事項を記入します。
ここに記入ができる配偶者は、この配偶者控除の対象になる方のみです。
下の配偶者特別控除に該当する人は書きません。
配偶者控除の適用がなくても、もしかすると「配偶者特別控除」は適用があるかもしれません。
では、配偶者特別控除の対象となる配偶者の要件を確認しましょう。
注1)4.の「他の人の扶養親族となっていないこと」とは、福岡家の場合、桜さんを太郎さんも華子さんも扶養親族として申告するような場合です。2人とも適用は可能ですが、どちらか1人しか控除できないということです。上記の配偶者控除の要件には入っておりませんが、注意事項として書かれておりますので 、ほとんど配偶者控除と同じです。
では、次に控除額を見てみましょう!
上の配偶者控除と表が逆になっていますね。
なお、上の配偶者控除には70歳以上の配偶者はについては、それぞれ加算がありましたが、この配偶者特別控除については、年齢による増減はありません。
配偶者特別控除に該当する場合該当金額を記入します。
福岡家の華子さんは所得が102万円なので、配偶者特別控除で控除額は7万円となりました。
ところで、配偶者の収入が給与の場合、所得と給与の収入額は以下のとおりです。
所得:38万円 → 給与収入:103万円
所得:85万円 → 給与収入:150万円
「〇〇万円の壁」などと言われ、目安になる金額です。
結局、配偶者が150万円まで働いても、あなた本人から控除される控除額は変わりませんが、配偶者の方に対しては税金がかかってきます。
また、社会保険料の扶養に入れる収入が130万円のため、ここまででストップするパートの奥様も多いようです。